セメントベビー
セメントベビー。
そんな言葉があることを知らなかった、
元セメントベビーな私です。
セメントベビーの意味は、以下の通りで、
「再婚した夫婦の間に生まれた赤ん坊」です。
私の場合は父に連れ子がおりました。
どうも、わりとよくあるとされるパターンは以下の2つのようで、
①セメントベビーが家族の皆から愛されて、絆が固まる
もしくは
②両親の愛情がセメントベビーに集中して、連れ子が疎かにされる
ということのようなんですが。
うちはどちらでもなかったなと思います。
ともかく父が、自分の連れ子に対する愛情が深すぎて、
その子が疎外されるとか、寂しい思いをするなんて
絶対に絶対に許されない! ことであり、
そして母はその気持ちに追従していました。
後々になって、母は、
「物心つかないうちは、どう扱われたかは覚えていないはず。
だからごめんね、と思いながら私を後回しにしていた」
と言っていました。
しかし、覚えているのですね。
連れ子に手を上げられたり、極端な意地悪をしかけられたことも、
両親がそれを見て見ぬふりをしていた空気も。
2,3歳の頃のことですが、痛み、恐怖、部屋の中の様子や人々の姿が、
頭の奥に残っています。
そんな風に育てられて、なんだかおかしい、消えたい、苦しさがとれない
という思いは大人になっても続きましたが、私が
ボウルビィの愛着理論を知ったのは、結構最近のことです。
「複雑な家庭」と呼ばれることを、両親はとても嫌悪していました。
それに気付いていたから、私も、私の家庭環境を
「普通」と信じ込もうとして生きてきました。
不思議と、家族歴を掘り下げようとする医師やカウンセラーとの
出会いもないまま、ここまで来ました。
でも、ああやっぱりな。苦しくて消えたくて当たり前だったんだ。
と今は思っています。
いい歳をして、幼少期の体験を引っ張り出してきて、
私かわいそう、と感傷に浸っている…こう書くと、
我が事ながら嫌悪感が湧きます。
でも、時としてそのいわゆる「セメントベビー」とやらは、
生まれ落ちた時から周囲にcementの役割を期待されたり、
親や兄姉の複雑な感情の対象になったり、
乳幼児期に親から100%受容されるとはいかなかったり、
そんな理由で絆を固める役割を果たすどころか、
自爆よろしく粉々にくだけることもあるような気がします。
こんな研究結果も。
「子供の頃のストレスは脳に影響を残す、ウイスコンシン大マディソン校」
http://science.newsln.jp/articles/2014062716000031.html
セメントベビーとは、いつもいつも、実親からの愛情を
独り占めした王子、姫であるとは限りません。
一生懸命、両親や腹違いの兄姉の苦労とか悲しみを察して、
幼いながらに、息を詰めて、私は控えめにしていようと
思っている場合もあるのです。
もちろん、100のステップファミリーがあって、
その構成員が500人いるとしたら、喜びも悲しみも苦しみも、
500通りでしょう。
ここに書いたのは、その500分の1の、小さなため息です。
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